海外の動画配信やコンテンツを視聴しようとすると、「この動画はお住まいの国では視聴できません。」と表示される場合があります。
これは、「ジオブロッキング(ジオブロック)」という規制・制限がかかっていて、コンテンツを視聴できないときに表示されるメッセージです。
このジオブロッキングを回避して、現地のコンテンツを視聴したい場合は、通常のネット接続ではなくVPNやプロキシサーバーを使ってジオブロッキングを解除しなくてはいけません。
本記事では、ジオブロッキングが起こる理由や仕組み、確認方法から実際にジオブロッキングを回避する方法について解説します。
さらに記事の後半では、ジオブロッキング回避におすすめなVPNサービスも紹介します。
なお、この記事に掲載されている料金やデータは、2026年時点のものです。
ネット環境やVPNの状況は常に変化しているため、契約や利用の際は各VPN公式サイトの最新情報をチェックしてください。
ジオブロッキング(ジオブロック)とは?
ジオブロッキングとは、インターネットコンテンツを配信する際に、企業側が主に海外ユーザーを対象にコンテンツを視聴できないよう制限をかけることです。
「ジオブロック」「地域制限」とも言います。
例えば、アメリカの動画配信会社が「アメリカ国内で契約した現地ユーザー以外は、自社のコンテンツを視聴できないようにする」といったように制限をかけます。
すると、アメリカ国外にいる海外ユーザーがその企業の動画コンテンツにアクセスしようとした場合、ジオブロッキングが働き「この動画はお住まいの国では視聴できません。」と表示されてしまうのです。
ジオブロッキングが行われる理由
ジオブロッキングが行われる理由は主に2つです。
- 著作権や放送権、その他権利による商業的な問題
- その国の法律や方針による問題
商業的な問題とは、例えばNetflixやABEMAなどの動画配信サービスは、国ごとに「放映権や販売権」が厳密に決まっています。
アメリカ国内のみの放映権しかないにも関わらず、日本やそのほかの国のユーザーから自由に視聴できてしまうのは契約違反です。
ほかにも、物価の安い国で契約されるのを防ぐためにジオブロッキングをかけている場合もあります。
例えばYouTube Premiumの個人プランは日本では月額1,280円かかりますが、海外の国で契約すると500円以下で契約できるなど、国ごとに物価の違いによる価格差があります。
海外からのアクセスを自由にしてしまうと、この価格差を利用して物価の安い国で契約してコンテンツを利用するといった方法が可能になってしまいます。
動画配信サービスを提供している多くの企業側は上記のさまざまな不利益を防ぐために、他国からのアクセスに対してジオブロッキングをかけるのが一般的です。
「このコンテンツはあなたの国ではご利用いただけません」というメッセージが出た場合は、ほとんどの場合が著作権などの商業的な理由によるジオブロッキングと考えていいでしょう。
もう一つの理由「その国の法律や方針の問題」とは、国ごとにネット接続や動画配信などに関する法律や動画の表現規制が異なるため、海外からのアクセスをジオブロッキングで防ぐことがあります。
また、厳密にはジオブロッキングとは仕組みが違いますが、中国やロシアといった一部の国では政府の方針により、海外からのアクセスや海外へのアクセスに対し大きな制限をかけ情報統制を行っています。
このように、商業的な理由や国の法律・事情により海外からのアクセスを制限するために利用されるのがジオブロッキングです。
ジオブロッキングの仕組み
ジオブロッキングは、ユーザーの使用している「IPアドレス」を元に、海外からのアクセスかどうかを判別し制限をかけています。
IPアドレスには、ユーザーのおおよその位置情報が含まれているため、IPアドレスを見れば少なくとも海外のユーザーかどうかは即座に判別可能です。
ジオブロッキングの制限の種類については、単純に「海外からのアクセスを遮断する」という制限のほか、「特定の国からのアクセスを遮断する」といったジオブロッキングがかけられている場合もあります。
ジオブロッキングを回避する方法
ジオブロッキングを回避して、現地の動画配信サービスや現地コンテンツを利用する方法は主に5つあります。
それぞれメリットやデメリット、そしてリスクが異なるため事前に確認しておきましょう。
Tor Browserを利用する
Tor Browser(トーアブラウザ)は、Google chromeやiPhoneのSafariと同じ「ウェブブラウザ」の一種です。
このTor Browserには、「Onion Routing(オニオンルーティング)」という技術が使われており、たまねぎの皮のように何層にも暗号化を施し、いくつものサーバーを経由することできわめて高い匿名性を実現します。
通常のウェブブラウザなので、PCやスマホにインストールすれば無料ですぐに使えるのがメリットです。
ただ、ジオブロッキング回避目的でTor Browserを使用するのはおすすめできません。
Tor Browserは、相手側から「Tor Browserを使っている」こと自体は筒抜けで、接続拒否されることも少なくありません。
その上、サーバーを複数経由するため通信速度が非常に遅く、動画を快適に観るのは難しいからです。
プロキシサーバーを利用する
プロキシ(Proxy)とは「代理」や「代理人」を指す言葉で、プロキシサーバーはその名の通り、自分のパソコンの代わりにインターネットに接続してくれるサーバーです。
ジオブロッキングを回避したい国のIPアドレスとポート番号を入手し、パソコンから設定して利用します。
無料プロキシリストを使用すれば料金はかからないうえ、ジオブロッキングも回避しやすいのがメリットです。
ただし、設定や手順がやや複雑でパソコンの知識がないと設定が難しいかもしれません。
苦労して接続してもプロキシサーバーはTor Browser同様に通信速度が遅く、動画視聴には厳しいため実用的ではありません。
なにより、プロキシサーバーには「通信内容が暗号化されない」という大きなデメリットがあります。
こちらの閲覧履歴や入力内容を第三者に傍受され、個人情報やデータが流出する可能性があります。
セキュリティリスクが高く、動画視聴にも適さないことからジオブロッキング回避目的でプロキシサーバーを利用するのはおすすめできません。
SmartDNSを利用する
SmartDNSは、主にVPNサービスなどに契約すると使えるようになる、IPアドレスを隠せる機能です。
Tor Browserやプロキシサーバーと違い通信速度が非常に早く、高画質の動画もストレスなく視聴できますし、ジオブロッキング回避性能も高いです。
さらに、パソコンやスマホだけではなく、テレビやゲーム機といった幅広い機器に対応しています。
ただし、SmartDNSは暗号化されていないためセキュリティに問題があります。
設定が少々面倒な点も、知識がない方にとっては使いにくい点です。
そもそも、SmartDNSは大手VPNサービスの機能の一つとして付帯しています。
PCやスマホからジオブロッキングを回避するのであれば、わざわざ設定が面倒でセキュリティに不安があるSmartDNSではなく、普通に契約したVPNをONにした方が簡単で快適、しかも安心です。
VPNはテレビやゲーム機には対応していないことが多いため、どうしてもゲーム機で海外コンテンツを視聴したいといった特別な事情があればSmartDNSも選択肢に入ってきます。
データローミングを使用する
データローミングは、「海外から日本のコンテンツを視聴したい」という限定された状況において、最強のジオブロッキング解除方法です。
データローミングをONにすると、世界中どこにいても「日本の通信」と判断され、日本のコンテンツからのジオブロッキングを受けなくなります。
企業側のジオブロッキングだけではなく、中国などの政府のネット接続制限の影響も受けなくなるため、ほとんどの国で日本のサイトやコンテンツにアクセスが可能です。
ただし、日本から海外のジオブロッキングを回避する用途では使えず、また使っているスマホのキャリアによって使用できなかったり、事前契約が必要なケースがあります。
オプション契約が不要で30GBまで無料で使えるahamoなど一部例外はありますが、ほとんどの会社では事前契約が必要で、また追加料金がかかる上に通信量に制限がある場合が多いです。
データローミングは、上記の通り使える状況が限定されているうえやや高額な料金もかかるため、使いやすいとは言えません。
であればVPNを契約して、あらゆるシチュエーションで思う存分快適な動画視聴やサイトアクセスを楽しんだほうが良いでしょう。
VPNを利用する
簡単で安全なジオブロッキング回避方法としては、やはりVPNが最強です。
VPNとはVirtual Private Networkの略で、ネットに仮想トンネルを作り自分のIPアドレスを隠して通信ができるサービスで、さらに世界中のサーバーに接続できます。
簡単に言えば、「日本人であることを隠せるうえ、現地の人に溶け込むことが可能な機能」です。
VPNを使い現地サーバーに接続すれば、ジオブロッキングをかけている側からは「現地の人が現地のコンテンツにアクセスしている」ようにしか見えません。
VPNによりますが、有料VPNであればジオブロッキングを高い確率で回避できますし、通信速度も速く、動画視聴も快適に楽しめるでしょう。
通信制限もなく、セキュリティも万全。しかも設定も簡単なため初心者や知識のない方でも安心して使えます。
いままで紹介した4つのジオブロッキング回避方法はいずれもデメリットや制限があり、しかもメリットよりもデメリットが大きい選択肢でした。
一方で、VPNのデメリットは「有料である」点のみです。
有料と言っても、長期プランであれば月々数百円程度で済むことも多く、大きなデメリットではありません。
ジオブロッキングを回避するなら、VPNを利用しましょう。
VPNを使いジオブロッキングを解除する方法
VPNを使用し、ジオブロッキングを解除する方法を解説します。
契約したVPNによって操作方法は異なりますが、大まかな手順は同様です。
- VPNサービスと契約する
- VPNのアプリをインストールする
- アプリを起動し、見たいコンテンツのある国のサーバーを選んで接続
- 接続されたら見たいコンテンツにアクセスする
特殊なプロトコルを使用する場合を除き、ほとんどは上記の手順でジオブロッキング解除が可能です。
もし上記の手順でもジオブロッキングを解除できなかったら、同じ国の別サーバーに接続したり、VPNに別のプロトコルがあれば試してみてください。
ジオブロッキングを解除できるおすすめVPN3選
海外のジオブロッキングを解除できるおすすめのVPNを3つ紹介します。
それぞれ利用料金や適した用途が異なるため、自身の環境に合ったVPNを選んでください。
NordVPN
| 月額料金 | 410円〜 |
|---|---|
| 本拠地 | パナマ共和国 |
| サーバー設置国数 | 110か国以上 |
| 対応OS | Windows、macOS、Linux、Android、iOS、Chrome、Firefox、Edge、Android TVなど |
| 同時接続台数 | 最大10台 |
| ノーログポリシー | ○ |
| セキュリティ | 脅威対策 メッシュネットワーク ダークウェブモニタリング 固定IP |
| サポート | ライブチャット、メール |
| お試し期間 | 30日間返金保証 |
NordVPNは、VPNサービス最大手の一つです。
サーバー設置国数は業界トップクラスの110か国以上で、あらゆる国の現地サーバーと接続できます。
大手の技術力と資金力を生かしたジオブロッキング回避性能も非常に高く、NetflixやAmazon Prime Videoなどのジオブロッキングが厳しいコンテンツを含め、ほとんどの国の現地コンテンツにアクセスが可能です。
セキュリティも万全で、複数のデバイスや接続機器にも対応。
サポートも日本語対応可能と、欠点らしい欠点のないオールマイティなVPNです。
ジオブロッキング回避のためにどのVPNを使おうか迷ったら、とりあえずNordVPNを選んでおけば間違いないでしょう。
唯一の難点がやや高めな月額料金ですが、長期プランにすると大幅に割引されるため、VPNを長く使う予定の方に特におすすめです。
ExpressVPN
| 月額料金 | 1か月プラン:12.99ドル(約1,948円※) 12か月プラン:3.49ドル(約523円※) 2年プラン:2.44ドル(約366円※) ※目安として為替レート1ドル150円で計算 |
|---|---|
| 本拠地 | 英領ヴァージン諸島 |
| サーバー設置国数 | 105か国 |
| 対応OS | Windows、macOS、Linux、Android、iOS、Apple TV、Amazon Fire TV等 |
| 同時接続台数 | 10台~14台 |
| ノーログポリシー | ○ |
| セキュリティ | TrustedServerセキュリティ Network Lock キルスイッチ VPNスプリットトンネルなど |
| サポート | ライブチャット、メール(いずれも日本語対応) |
| お試し期間 | 30日間返金保証 |
ExpressVPNは、NordVPNと並ぶ業界最大手のVPNです。
サーバー設置国はNordVPNと同水準の105か国で、あらゆるOSやデバイスにも対応。
もちろんジオブロッキング回避性能もトップクラスです。
そのため、ExpressVPNとNordVPNどちらを選んでも問題ありませんが、強いて違いを挙げるとすれば以下で違いがあります。
- ExpressVPNは操作や設定が簡単で初心者向き
- NordVPNはサーバー数が多く、混雑時に通信速度が落ちにくい
あくまでも強いて言えばくらいの違いですが、迷ったときは上記を参考に選んでみてください。
なお、ExpressVPNは料金がドル建てのため、支払い時に為替レートの影響を受ける点に注意が必要です。
できる限り円高のタイミングで契約しましょう。
スイカVPN
| 月額料金 | 878円〜 |
|---|---|
| 本拠地 | 日本 |
| サーバー設置国数 | 25か国(45都市) |
| 対応OS | Windows、macOS、Android、iOS |
| 同時接続台数 | 最大50台 |
| ノーログポリシー | △(※ 日本の法律を順守) |
| セキュリティ | 固定IP 256ビット暗号通信 |
| サポート | メール |
| お試し期間 | 30日間無料キャンセル |
スイカVPNは、日本企業が運営するVPNです。
先ほどのNordVPNやExpressVPNに比べると、サーバー数や設置国数が多いわけではなく、料金も決して安くありません。
ただ、スイカVPNには「中国のネット規制に対して強い」という大きな特徴があります。
中国国内に入ってしまうと、「金盾」「グレート・ファイアーウォール(GFW)」と呼ばれる「中国政府のネット検閲システム」により、日本含め海外すべての国のネットワークに接続できなくなります。
ジオブロッキング以上に厳しい規制のため、この規制を突破できないVPNが多い中、スイカVPNはこの規制をかいくぐる性能が非常に高いです。
アメリカやヨーロッパなど、多くの国のジオブロッキング解除が目的であればNordVPNやExpressVPNがおすすめですが、中国への旅行や出張に行く際はスイカVPNをおすすめします。
ジオブロッキングを解除する際によくある質問
ジオブロッキングに関するよくある質問をまとめました。
ジオブロッキングを解除するのは違法ですか?
法律の観点から言えば、VPNなどを使用してジオブロッキングを解除するのは違法ではありません。
日本国内において、過去にジオブロッキングの解除を試みたことで逮捕されたケースはありません。
ただし、法律ではなく動画配信サービス企業の「規約」に違反する可能性は高いです。
例えばNetflixでは、規約に「お客様がアカウントを開設した国内からのアクセスに限る」といった文言が書かれています。
これは暗に「VPNを使ってほかの国のサーバーを経由して視聴してはいけない」という意味にも取れます。
従って、VPNを使用してジオブロッキングを解除したのが発覚した場合、会員資格の停止や契約の解除といったペナルティを受ける可能性は0ではありません。
無料VPNでもジオブロッキングは解除できますか?
100%不可能ではないものの、可能性は非常に低いでしょう。
無料VPNのIPアドレスは数が限られているうえに利用ユーザーが多く、サイト側も監視を強めているため頻繁にブロックされます。
有料VPNであれば、ブロックされてもすぐに違うIPアドレスを立ち上げたり、すり抜けやすいプロトコルを使用してジオブロッキングを回避できますが、無料VPNにはそういった機能はまずありません。
無料VPNは通信速度も遅く、また閲覧履歴や個人情報の盗み見といったセキュリティリスクのあるVPNもあるため、できる限り使わないほうが良いでしょう。
有料VPNを使えば確実にジオブロッキングは解除できますか?
残念ながら、サーバー数が多くジオブロッキング解除技術の高い有料VPNを使っても、ジオブロッキングを解除できない場合はあります。
タイミング悪くサイト側の検知に引っかかってしまった場合や、使用しているIPアドレスが動画配信サービスのブラックリストに載って対策されてしまった場合は、有料VPNを使用してもジオブロッキングを解除できません。
ただ、有料VPNには「サーバーを同じ国の別サーバーに切り替えたり、違うプロトコルを試せる」という強みがあります。
別の手段を試せば、すんなりジオブロッキングを回避できるかもしれません。
それでもジオブロッキングを解除できなかった場合は、別のVPNで試してみてください。
サイト側のジオブロッキングとVPN側のジオブロッキング解除技術は、常にいたちごっこの状態です。
タイミングやVPN次第で接続できるときもあれば、できないときもある点は理解しておきましょう。
ジオブロッキングを解除する方法まとめ
海外コンテンツへのアクセスが制限されてしまうジオブロッキングの解除には、VPNの利用が最も有効です。
VPNを使用し、海外現地国のサーバーに接続すれば高い確率でジオブロッキングを回避できるでしょう。
ただし、どんなVPNでもいいわけではありません。
サーバー数が多く、ジオブロッキング回避性能の高い有料VPN、それもできるだけ大手のVPNを選ぶのがおすすめです。

